ダイコンの栽培方法
1.生育特性と注意点
冷涼な気候を好み、寒さにはよく耐えますが、暑さには比較的弱い性質です。
発芽適温:15℃~25℃
生育適温:15℃~25℃
生育初期は25℃程度の高温にもよく耐え、生長も速く進みますが、生育中期~後期になるにしたがって高温に弱くなり、生育後期では25℃以上の高温で、生育が抑制されたり、生理障害や病害等が発生する確率が高くなります。
大根は13℃以下の低温に一定期間遭遇することで花芽が出来てその後温度が上がって来るとトウ立ちしてしまいます。
冬・春まき栽培ではトウ立ちしにくい品種を選び、無理な早まきは避けて下さい。
春まき露地栽培ではソメイヨシノが満開を迎えた頃を目安に種まきを始めると良いでしょう。
それ以前からまく場合は、マルチやトンネルなど、低温を避ける工夫が必要となります。
2.栽培カレンダー
・商品裏書上部にある栽培カレンダーはおおまかな一例ですので、参考にして頂く程度のものです。
・地域や畑の環境によりカレンダーは変化していきます。
・行った作業をこまめにメモしていくと時期的な要因による成功や失敗も見えてきやすくなります
・自分の畑の栽培環境に合わせた自分の栽培カレンダーを作れるようになればよいですね。
3.畑の準備
種蒔きの2週間ほど前までに以下の準備をします。
・1㎡当たり苦土石灰約100g~150g(牡蠣殻などの有機石灰では約150g~200g)、
完熟堆肥1~2㎏、化成肥料(8-8-8または10-10-10)50g~100gを全面に散布します。
・30㎝以上の深さに耕します。
この時、又根の原因となる土の塊をよく砕き、小石や雑草の根などを取り除きます。
・巾60~70㎝程のウネを立てます。水はけの悪い畑の場合はウネを高くします。
・目的に応じてマルチを張ります
ポイント ダイコンは「大根十耕」と言われるように畑を深くまでよく耕すことが重要なポイントです。
※マルチフィルムは必ずしも必要はありませんが、利用することにより、雑草の防止、土壌水分の保持、雨水の跳ね上がり防止による病気感染の予防などの効果が期待できます。マルチフィルムを張る時は土が十分湿った状態の時が良い。(出来れば雨が降った翌日)
※農業用マルチフィルムの主な種類と効果 :目的によって使い分けます。
・透明マルチ:地温確保効果は最も高いが雑草抑制効果はない。
・黒色マルチ:地温確保、雑草抑制。
・シルバーストライプ黒色マルチ:地温確保、アブラムシやアザミウマなど害虫の飛来抑制
・シルバーマルチ:地温上昇を抑制、アブラムシやアザミウマなど害虫の飛来抑制
・白黒マルチ:地温上昇を抑制、雑草抑制
4.たねまき
①株間20~30cmを目安として深さ1~2cmのまき穴を作ります。
②1か所にタネを3~5粒まきます。
(等間隔に蒔くと後の作業が行い易くなります。)
③1cmほどの深さに土をかぶせた後、タネと土が密着するように
土の表面を手のひらなどで軽くおさえつけます。
(土に含まれる水分がタネに移行し易くなり、発芽し易くなります。)
5.管理
発芽して双葉が開いたら1回目の間引きを行います。
双葉の形の良いものを1ヶ所2~3株残して間引きし、株の根元に土を寄せておきます。
本葉が4~5枚の頃、生育の悪い株を間引いて1ヶ所2株にし、株の根元に土を寄せておきます。
(写真は間引き菜、間引き菜は味噌汁の具等に利用できます。)
本葉6~7枚の頃、1ヶ所1本にして株元に土を寄せて、株と株の間に追肥を施します。
(化成肥料窒素:リン酸:カリ=8:8:8を1㎡当り40g程度)
・害虫防除
ネキリムシ、コナガ、アブラムシなどの防除を早めに行ないます。
本葉1~2枚のころ、ダイコンシンクイムシ(ハイマダラノメイガ)
また、タネまきから生育初期のキスジノミハムシの防除が大切です。
6.収穫
根の直径が7センチ位になった頃から収穫します。収穫が遅れると、すが入ります。
7.大根の栽培Q&A
Q根が太る前にトウ立ちしてしまいました。タネが古いのでは?
Aダイコンはタネをまいたときからの低温に感応して花芽を分化し、その後の高温と長日によってトウ立ちします。早春はまだ温度が低いのであまり早まきするとトウ立ちしてしまいます。タネが古い新しいに関係はありません。
気温が十分上がらない時期からタネまきする場合は、タネまき前にトンネルやマルチで地温を上げてから春まき用品種をまきます。
ポイント 春まき露地栽培ではソメイヨシノが満開を過ぎた頃を目安に種まきを始めると良いでしょう。
Q辛みや苦みがあります。
A高温・乾燥や窒素過多で辛みや苦みが強くなることがあります。
Q二股に割れてしまった
A大根は地中深くまで根を伸ばすので、土の中の雑物(石・肥料・ごみ)などに当たると股になってしまいます。また、根の先端が害虫におかされても同様に割れてしまいます。
対策としては、土作りの際にきれいに雑物を取り除き、未熟な堆肥を入れないようにしてください。